心理カウンセリングにおける専門領域は必要か

さて、心理カウンセリングにおいて心理カウンセラーは、深くかかわっている悩み相談の領域、すなわち専門領域を確立していた方がいいのでしょうか。

以前あるカウンセラーから「専門領域って必要ですか」と質問を受けたことがあります。

心理カウンセラーの仕事を「話しを聴くこと」のみと定義されておられるのでしたら、専門領域は必要ないのでしょう。
それは、傾聴して話しを伺い、受容、共感することを心理カウンセリングと捉えているのですから、どのような人の話しでも傾聴すれば共感は出来ます。
もちろん、この受容、共感こそが心理カウンセンリングの基本なのですが。

傾聴して受容、共感することを心理カウンセラーの仕事と捉えるカウンセラーからすれば、心理カウンセリングにおける専門領域がなぜ必要なのかと疑問を持たれるのでしょう。

しかし、私はこのコーナーにおいて再三書いておりますが、心理カウンセラーの仕事は、クライエントの方の行動の変容、問題の解決を目指すことも大変重要なのです。

本当にこれは重要なのです。
そうでないと、クライエントの方のカウンセリングに対する満足率は大変低くなります。
ですから、そのために心理カウンセラーはカウンセリングにおいてアドバイスや提案を行うのです。

傾聴を主とするカウンセラーは、心理カウンセリングにおいてアドバイス、提案はしないと言われる方もおられます。
(この方々は臨床経験が浅いのでしょう。臨床経験が深まるとクライエントの方の満足とは何かを考えます。クライエントの方によっては今の自分をかえたいと思われる方が多く、そうするとやはり効果的なアドバイスや提案が必要になってくることに気がつくはずです)。

さて、心理カウンセリングにおいてクライエントの方にアドバイスや提案を心理カウンセラーが積極的に行うとすれば、そのためには何が必要でしょうか。

それは、クライエントの方を知ること。
クライエントの方の世界を知ること。
クニイエントの方の世界を共有することなのです。

では、クライエントの方の世界とは何か。

1つはクライエントの方の考え方、抱く感情等クライエントの方個人の属する世界です。

それからもう1つは、そのクライエントの方が抱えている悩みを持っている人々の共通の考え方、感じ方、取り巻く環境等です。
これはその悩みを持っている方々に属する共通の世界と言えます。

すなわちクライエントの方の世界を知るということは、個人と共通、共に知り共有することなのです。

個人に属する独自の世界と、抱えている悩みのカテゴリー共通の世界なのです。
後者は同じ種類の悩みで悩まれている方の共通項とも言えるものなのです。

例えば私の専門領域であるアダルトチルドレン。
アダルトチルドレンの悩みは自己喪失、対人不安、自信がないとう共通の悩みがあります。
そして、この背景には家庭時の親子関係、環境等共通(似ている)ものが多々あるのです。
そして、そこから生じる様々な悩みのパターン、お話しされる内容、思考や感情も驚くほど共通しているのです。

したがって専門領域を持つということは、彼らの世界を広く知っていることであり、その領域に関する心理カウンセラーの知識も広く深く、より有効なカウンセリングを展開出来るということになるのです。

しかし逆に考えると私は統合失調症の方の世界は知りません。
クライエントの方の統合失調症の悩み、個別の話から共感は出来ます。
しかし、彼らが話す以上の世界を知らないので、受容、共感のみで心理カウンセリングが終わる確率が高いのです。

それがもし統合失調症を専門領域の1つとしている心理カウンセラーであれば、彼ら共通の悩みの世界(取り巻く背景等)を知っており、より高い見識より、より有効な問題解決へ向けてのアプローチも出来るのではないでしょうか。

ここまで書いてお分かり頂けるように、心理カウンセラーが悩みの相談に対する専門領域を持つということは、クライエントの方との広い世界を共有していることであり、心理カウンセリングに有効であるのです。
それは、話しを聴き受容、共感で終わるのではなく、有効なアドバイスや提案を行い、行動の変容をもたらすためにです。

ですから私は、心理カウンセラーは対象となる相談の専門の領域を持つということは、心理カウンセラーのため、そしてクライエントの方のためには重要であると考えているのです。


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